モルック関東プライムリーグ 運営のharuspringです。
関東のモルックプレーヤーが8つのクラブに分かれて7ヶ月の長期戦に臨む「モルック関東プライムリーグ」。シーズン2は昨年11月に開幕し、今年5月にSLAPSが2連覇を達成。そして7月のプレーオフでは「モルック関東プライムリーグチャレンジ」を勝ち上がった挑戦者・武蔵野が北関東ライラックスを破り、今年10月から開幕する来シーズンの出場権を獲得し、リーグ史上初の「昇格」を達成しました。
熱戦を繰り広げたプライムリーグではシーズン後に最優秀選手(MVP)を決める選手間投票を実施。その中でいただいたシーズンの感想、リーグへの要望などを、本記事にて紹介、リーグ運営が回答します。
シーズン2の感想
- 今季から参加させていただきましたが、1投1投の緊張感とレベルの高い相手との4人チーム戦を経験して、モルックの奥深さをさらに感じることができました。長期的なリーグ戦による次節に向けた準備やスタッツ集計など継続して高いモチベーションで臨めたことで、一選手としても大きく成長できたと思っています。ありがとうございました。
- いい緊張感と1投の重みがとても他で味わえないのでずっと出たいリーグ戦です。
- 長い期間でのガチ試合の連続は、いい緊張感の中でのスキル向上とメンタル面の強化になりました。
プライムリーグは元々「大きな大会で優勝するチーム・選手を輩出する」「プレーレベルの底上げ」「競技性のあるモルックに注目してもらう」ことを目的としていましたが、実際に始まってみると多くの選手から「とても緊張する!」という感想をいただきます。
トーナメントとは違い勝ち負けがシーズン全体に影響すること、8人以上からなる「クラブ」の代表としてそれぞれの試合に出場する、動画配信試合があることなどの要素によって、想定以上の緊張感がある引き締まった試合が繰り広げられています。これはトーナメント大会の決勝に臨むに当たり十分な準備の場として機能していると捉えています。緊張感があるということはそれだけ真剣に取り組んでいただいていることになりますので、各クラブの選手やスタッフによってリーグが作られていることは言うまでもありません。
- モルックとリーグ戦の相性が非常に良いことを実感しましたし、今後もっと盛り上がっていければと強く感じました。
- モルックという競技をモチベーション高くやって行く意味で、このリーグ戦は本当に大事だなと思いました。強豪と対戦していく中で自分が足りないのは何か?を見つけて、それをテーマに練習に挑むことができるので、僕の中では本当に大きな存在です。
- 長期間のリーグ戦、4セット先取引き分けありのレギュレーションが面白い。
「リーグ」という名称のモルックイベントはこれまでも存在していましたが、プライムリーグはプロサッカーのホーム&アウェイ総当たりのリーグ戦を参考にして作られています。試合の結果にかかわらず、4セットを先取し勝利すれば「勝ち点3」を得られるという仕組みはとてもシンプルであり、参加している選手も、プライムリーグの結果や動向を楽しみにしていただいている方にも、とても分かりやすく現状を把握できるようになっていると思います。
この方式はともすれば残酷で、大胆な逆転劇や激しい順位変動はなかなか起きませんが、(これもフットボールリーグのように、)だからこそ数年に1度単位の劇的な競争にカタルシスが生まれると考えています。
例えば、今シーズンは「SLAPS」が2連覇、それも圧倒的な勝ち方をしていますが、唯一の黒星を「Fuchu-möl White Horses」がつけている、こういった出来事もリーグが熟成するに従ってストーリーとして働くようになるでしょう。
- 注目選手として紹介されるように来シーズンも頑張ります!
プライムリーグの特徴のひとつが「配信試合」です。月に8試合ペースで消化されているリーグですが、そのうち2試合を「動画配信試合」に指定、後にyoutubeに公開される仕組みを取っています。
理由としては、これだけレベルの高いプレーをしているのだから多くのモルックプレーヤーに知ってもらうべき、プライムをひとつの目標にしてもらいたいからです。モルックにどっぷり浸かっているその「外側」の方々、モルックは知っているけどやったことは……1回くらいはやってみたけど……という方がもう1回遊んでもらえるようなキッカケになればと動画を作っています。
もちろん、出場する選手にとっても配信試合は少し異質なようで、トーナメントの決勝で多くのギャラリーに観られる感覚を仮想的に体験することができます。
「注目選手」はスポーツ番組的な要素を取り入れる中でのアイデアの1つで、あまりプライムリーグを知らない方にも見方として提供しています。
- 中部地区、九州地区に同種のリーグ戦が出来たのは素晴らしいですね。
現在、愛知ではAML、九州ではFMLという同様の総当たりリーグが生まれ、最初のシーズンを消化しています。直接的な協力関係ではありませんが、丁寧にも事前に連絡をいただき、資料の提供など少しだけサポートしていただきました。これからもそういった広がりは是非期待していきたいですね。
プライムリーグへの要望
- 要望としては、最終節だけでも、同会場で全チーム一斉スタートでやれたらいいなと思いました。
確かに、できれば実践したいアイデアです!元ネタにしているサッカーのリーグ戦でも、最終戦は同時に行うことによって優勝や降格争いの状況がリアルタイムに目まぐるしく変動するのが面白い要素になっています。
会場を確保するなどの課題はありますが、ぜひ取り組んでみたい施策です。
- 入れ替え枠はもう少し多い方が、リーグ全体の活性化に繋がりいいかなと個人的には思いました!
- 2部制の充実のため、参加チーム数を増やしたいですね。
これはその通りで、新しく始めた選手やモチベーションが高く急成長をする選手はどんどん出てくるので、そういった方々がやる気を持ってもらえるような昇格条件にしていきたいと思っています。
そのため、来シーズンの入れ替え枠は昇格を争う「プライムリーグチャレンジ」のエントリークラブ数が増えるほど多くなる、という形を取っています。準備はできているので是非挑戦してください!という構えです。
- なかなか遠征費用(だいたい都内だと1日で6,000円〜8,000円)の割に投擲数が少なく、今後続けるか検討中……
ホーム&アウェイの形式をとるリーグ戦は、特に地方のクラブや選手の負担が多くなってしまうという課題があり、承知しています。どうにか参加しやすい環境を作れないかリーグとして規約を調整するというアプローチで実現できるかを検討しています。
なお、地方クラブの方々は現状ホームでも都内寄りで開催していただく配慮をしていただいていますが、個人的にはがっつりホームタウンで迎える!という形をとっていただいても構いません。
- 選手登録の上限を設けてほしいかな?と思います。もう既にありましたら、ごめんなさい。
リーグとしては選手数の上限は設けていませんが、「最低出場要件」というルールを用意しています。参加者はご存知かと思いますが、登録された選手は1シーズンで1試合以上出場しなければならない、というものです。これがあることによっていたずらに沢山選手を抱えることができなくなるので、実質的な上限と代えさせていただいてます。
来シーズンからはこの最低出場要件を、試合数ではなくセット数に変えますが、本質的にはそこまで変わらないと思います。
こうした長期の団体戦をやるにあたって、「試合を成立させること」が実は最大の課題だったりします。草野球のリーグではまず選手が揃うかが最初の山場と言われているらしく、モルックにおいてもそれは変わらないと思います。クラブによっては、なかなか選手が揃わずスケジュールがきつくなってしまうケースもあるようです。
ですので、リーグとしてはどんどん選手を登録していきましょう!という姿勢です。
- チームが増えてきたので、リーグ戦何位以内でプレーオフ方式にすると消化試合的なものが少なくなると思いますがいかがでしょうか。試合中の選手交代の幅を拡げてほしい。(交代した選手の再出場、交代回数の増加、セットごとの自由に入れ替え可能など)
ありがとうございます。どれも重要な観点です。重要なんですが、現状としてはいずれも保留という回答になります。
まずプレーオフ、野球で言う「クライマックスシリーズ」のような形式ですが、現状では予定していません。理由はいくつかあって、ひとつは「意外とモルック大会のスケジュールがきつい」からです。ここ数年で公式・非公式問わず大会数は倍々ペースで増えていき、数年前は想像できなかった「毎週のように何かしらある」状態になっています。この状態でプレーオフ用の日程を取るのは選手にとって負担になってしまうかな?と考えています。
もう一つは、上でも書いたようにサッカーリーグを参考にしているので、(個人的にはスポーツの好き嫌いはないのですが)現状のシンプルで無骨な総当りを維持していく予定です。
これとは別に、昇格・降格にかかわるところでプレーオフを設ける可能性はあります。
次に、選手交代についてです。これも結論は現状維持になってしまいます。
現状は、「1回交代して下がった選手は戻れない」ルールを取っています。これに対して、公式大会やトーナメント大会は(ベンチメンバーがいる場合は)「セットごとに自由に入れ替えができる」より柔軟な形式になっています。
では、プライムリーグもこれに合わせないのか?という問いですが、現状その予定はありません。その理由が、リーグのコンセプトである選手育成にあります。
もしセットごとに自由に選手を入れ替えられる場合、突き詰めれば「先攻用チーム」「後攻用チーム」を編成できます。まるでアメフトみたいですが、2チーム制の対戦において先攻・後攻ははっきりと戦略や目標が変わってくるので、局面に併せて専門職を擁立する、といった戦術思想がうまれても不思議ではありません。
ですが、選手育成を考えるとこういった専門職化は噛み合わせが悪く、ラウンドごとに微妙に違ったルールが設けられているトーナメントではかえって活躍しにくくなってしまう可能性があります。世界大会の優勝を目指していると宣言しておきながらリーグ用に先鋭化するのは避けたいと思っています。
選手交代に限らず、ルールというのは繊細な存在です。少し調整するだけでゲーム性、つまりどんな行動が有利になり定石はどうなるのか、といった既存の攻略法がひっくり返る可能性があります。たとえばモルック棒の長さが10cm伸びます!という変更があったら、ほとんどの選手は大事件だと認識するでしょう。それはルールというものにおいても同様です。
そのため、プライムリーグではルールを管理するにあたり、リーグが掲げるコンセプトを後押ししているか?リーグ向けに先鋭化しないか?といった観点に重きを置いています。ですので、選手の皆様もしっかり把握し、味わってもらえればと思います。