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【コラム】エントリーの先着制、そろそろなくなるかと思って約5年だけど進展なし

全国のモルックファンの皆様おはようございます。全国モルックカレンダーの編集チームに所属しているカクシトイスタ貝塚です。

不定期でお送りしているコラム記事ですが、今回は先日激しいエントリー競争が行われたモルック日本大会について、より多くのプレーヤーが納得できるようなあり方を考えます。

ℹ️INFO

この記事は、モルック日本大会のエントリーがわずか2分で締め切られたことを受け、その問題点を指摘し改善策を提案しています。
現状の先着順エントリーシステムでは、通信環境やITスキルなど、モルックの実力と関係ない要素で参加が左右される点が問題視されています。また、公認団体や地域住民への優先枠が多すぎることや、不正エントリーを誘発する可能性も指摘。
解決策として、参加定員の増加、抽選制の導入、優先枠ルールの明確化、選手登録制度の活用、シード権の設定などが挙げられています。運営側と参加者側が、互いに意見を交換し、より公平な大会運営を目指すべきだと結んでいます。

ジャパンオープンに続きエントリー競争が過熱

10月25日、26日の2日間で開催が予定されている第12回モルック日本大会は、9月10日に一般エントリーが行われました。そして(公式発表によると)わずか2分でエントリーが完了し、エントリーを無事通過したプレーヤー、通過できなかったプレーヤーの悲喜こもごもがSNS上にあらわれることになりました。

今大会のエントリーは特に激しい競争になることが事前に予想されており、実際にその通りになりました。エントリーは複数段階に分かれており、

  • 8/24~:公認団体による優先エントリー
  • 8/24~:(開催地である)福島県民優先エントリー
  • 9/10~:一般エントリー

blog.jajapatatas.com

と、誰でも参加可能な一般エントリーの前に2種類の優先エントリーが事前に開始しており、全224チームの定員が用意されていましたが、一般エントリーは140チームとアナウンスされていました。

ちなみに前回のジャパンオープンは320チーム、昨年の日本大会は256チームの定員で、それよりも今回は少なくなっています。

こうした「0回戦が難関」になっている状況について、まず問題点を整理しようと思います。

先着制が適切なのか

これまでと同様、エントリーは先着制となっており、「いかにエントリー開始直後に素早くアクセスとエントリー処理を済ませるか」という競争が行われるのが恒例化しつつありますが、果たしてこれは健全な状態なのかを問う必要があります。

エントリー開始時刻に仕事や用事がある場合は仕方なく諦めるしかないのでしょうか。移動中で電波の悪い場所にいたらそんなところにいるのが悪いとなるのでしょうか。スマートフォンの扱いに慣れていない場合はモルックの練習よりエントリーの練習を先にしろというのでしょうか。エントリー担当がうっかり遅れてしまったためにチームメイトから責められたりするようなことはあってほしくありません。モルックの技術やモルックへの愛ではない部分を試されている現状は、歪だといえます。

(ちなみに自分は今回の日本大会には参加しませんが、エントリーは毎回PCで行っています。操作は明らかにスマホよりも早くなるし通信環境も安定しているので「有利」ですが、じゃあ全員が全員PCを用意するべきなのか、というのはやはりそういうことじゃないと感じます)

※過去にはエントリーについて(当時)協会に所属していたスタッフから「エントリーを学べ」といった本質から逸れたSNS投稿がありました。ちょっと閲覧注意なので折りたたみます

タップして詳しくみる

出来た人が申し訳なく思うのも違うと思うしでも出来なかった人が沢山いることも事実でやっぱり納得いかないところもあるのも事実でどうしても搾取だと思わずにはいられないやり方は反感を買ってしまうしだからこそ今日までにたくさん大会があったわけだから学んで今日を迎えて欲しかったって思う。うん

そもそもモルックを最近知って初めて公式大会に参加しようと思っているチームや選手は、こんな2分ちょっとでエントリーが終わってしまうような大会であることを知る由がありません。せっかくメディアで取り上げられて知名度があがっても、こういった形で人口増加のチャンスを失っている可能性があることを問題視すべきです。

エントリーが2分で終わったことをどこか誇らしげにしている日本モルック協会の投稿。杞憂ですがそもそも問題として認識していないのでは…

エントリーシステムが合っていない

前回のジャパンオープンでも、今回の日本大会のエントリーでも発生したのが、エントリーサイトとして利用されている「livepocket」の不調です。多くのユーザーがアクセスしたことにより、チケット購入画面にアクセスすることができず、何度も更新や再アクセスをして、やっとのことで購入できたり、人によっては諦めてしまうことになったりと、システムの不調に踊らされることになっています。

今回が1回目ではなく、ジャパンオープンに引き続き2回連続で発生しているため、livepocketは同時刻に一斉にアクセスするには不向きなサービスであると判断し、別のシステムを利用することを検討するべきです。

チームによっては30~40分後に再アクセスしたら購入できた!という情報もありましたが、それを参考に次回のエントリーでは諦めずに1時間ほど粘ろう、なんてことになるのは本末転倒です。

エントリー終了後に復活したチケットを購入できた例。そもそもこういう「裏技」的なことをしなければいけない状態が異常

優先枠が多すぎる?

全体224チームのうち140チームが一般枠ということは、全体の約4割は「公認団体優先枠」か「福島県民優先枠」ということになります。ここはそれぞれの価値観によりますが、「日本大会」という屋号を掲げているわりには地元枠が多かったり、オープン大会という位置づけにしては公認団体優先枠が多いように感じます。

また、公認団体という制度(※10月からは「地域登録団体」に移行)は、どちらかというと体験会や練習会、自団体の主催する大会をモルック協会のHPに掲載することができる制度であり、普及活動のサポートが得られるという主旨であり、その中に「公式大会の優先エントリー権」があるというのはちょっと毛色が異なるように感じます。

また、日本モルック協会は2024年度から「選手登録制度」を開始していますが、こちらのほうが公認団体制度よりも競技を意識したものであり、優先エントリーや、あるいは「シード制度」などについて、選手登録制度を利用して展開していくことができるのではないでしょうか。

エントリーが加熱すると、不正がはじまる

あまり考えたくないことですが、エントリー競争が激化すれば、なんとかくぐり抜けようという考えから不正やグレーな発想が浮かんでしまいます。

ご家族や親戚が居るなら無理矢理メンバーに加えとくという手も。4人目、5人目のメンバーなら居なくても影響ないですし。

敢えてリンクは貼りませんが、上のような投稿がSNS上であり、「(福島県民優先枠でエントリーするために)実際には大会に出場する予定がない方をチームメンバーとして登録する」といった手法は、厳密にはルール違反ではありませんが、他のチームもどんどん同じような行為をしてしまうと優先枠の意味がなくなり、正当にエントリーしようとしているチームはより参加が難しくなってしまいます。

他にも、「架空の選手を追加しておいてあとからメンバー変更」や、「チームメンバー全員でエントリーして、重複した分はあとからキャンセルする」といったグレーな手法が出回ってしまうと、ますます初心者やライト層が離れていってしまい、「閉じたコミュニティ」が進行してしまうでしょう。

さらに、こういった不正を防ぐために、エントリー時により詳細な情報を求められたり、証明するために煩雑な作業が必要になったり、参加者側、運営ともにチーム・選手情報の照合など負担が倍増してしまいます。

不正をきっちり取り締まる、ペナルティを付与することも必要ですが、そもそも不正が起こり得ない仕組みづくりも重要です。残念ながら、現状のエントリー競争化は、不正を招く環境になっていると言えます。

エントリーの問題を解決するためのアイデア

では、こうしたエントリーの問題・課題を解決するためのアイデアについて考えていきます。

定員を増やす(1チームあたりの試合数を減らす)

単純ですが、定員が増えればより多くの選手が参加することができます。ただし、そのためには会場を大きくしたり、日程を長期化する必要があり、このあたりは事前の検討段階で決まってしまいます。

比較的柔軟にできる方法は、「1チームあたりの試合数を少なくする」ことです。例えば、前回のジャパンオープンは「10チームによる総当たり予選」となっており、予選だけでも全体日程のうち1日目の午前~2日目の午前までを占める、というスケジュールとなっていました。

これを、例えば「4チームによる総当たり→2チームが通過、その後トーナメント」とすれば、予選はかなり短くなり、1日目の昼過ぎくらいにはトーナメントに入れるようになります。要するに、1チームあたりの予選試合数を減らせば、より多くのチームが参加できるようになる、という考え方です。

ただ、モルックコミュニティには慣習として「最低でも◯試合できるように設定する」といった、参加者により多くプレーさせたいという考え方が定着しており、予選を短くするという発想はこれと相容れない可能性があるので、必ずしも絶対良いアイデアになるとは限りませんが、1つの案として検討するべきです。

そうした場合、大会には1日目途中で敗退が決まってしまったものの、野試合(練習試合)が自由にできるスペースが用意されているとか、サブコンテンツやブースを充実させるといった方法で、参加者の満足感を上げる施策も必要になります。

抽選制にする

エントリーの公平性を求めるのであれば、やはり先着制をやめて抽選制にするべきです。人気のライブチケットが抽選制であるように、多くのチームが参加したいモルック大会も抽選制で行うことで、仕事や用事、通信環境、スマホやPCの知識などモルック以外の本質的でない要素が問われることはありません。

エントリーの可否によって予定を変える方もいるので、1週間くらいで締め切るのがよいでしょう。抽選制であれば、システムがダウンして混乱が生じるリスクも減ります。

(定員1,000人規模のゲーム大会でも抽選はGoogleフォームで応募→当選者にチケット購入リンクと照合用のパスワードを送付、という形で取り仕切っていたので、技術的にも可能だと思います)

優先枠ルールをクリアーにする

オープン大会ではありますが、一部は優先枠を用意することについては異論ありません。たとえばこういった形で必要になると思います。

  • 地元枠:モルックの普及のために、地域を開拓するキッカケとして必要
  • アンバサダー・招待選手:アンバサダーや有名人の参加によって注目度を上げるために必要

これらは必要ではありますが、ある程度にとどめるべきで、大会発表の時点であらかじめそれぞれの枠数を明確にアナウンスしておけば、大きな反論がおこることもないと思います(今回の場合、事前に枠数の内訳が発表されていなかった気が。されていたらすみません)。

(ルールやシステムを明確にするのは公平性を保つのには不可欠であり、日本選手権の本戦枠の振り分け・繰り上げについても合わせて明らかにしてほしいところです。結局今回も上位◯チームが本戦枠を得られるのか分かっていない)

団体優先枠は、選手登録制度に移行する

公認団体(10月から地域団体)の優先枠ですが、上でも述べた通り、公認団体はどちらかというと普及や自団体イベントの周知がメインの目的であり、公式大会の優先枠という競技面の付加価値は種類が異なるように感じます。

また、現状のプレーヤーと団体の関わり方からしても違和感があります。モルック選手は、だいたい①1つの団体に所属し活動する、②複数の団体を掛け持ちする、③特定の団体には所属せず個人として色々な団体の練習会や大会に参加する、という3パターンに分かれて活動しています。

こうした場合、公認団体に付与される優先枠を、②や③のパターンで活動している選手は利用することはできず、利用するにしても「公認団体の実質的なメンバーではないが、形式的にその団体員として入り」優先枠<として>エントリーする、という回りくどい利用方法になってしまい、実状にそぐわない形になると思われます。さらにチーム戦の場合、異なる団体の選手同士が流動的に組む場合も多いため、ますます形骸化してしまいます。

一方で、選手登録制度は競技的な面でのプレーヤー情報の管理を目的とした制度であるため、どちらかというとこちらのほうが「公式大会の優先エントリー」を扱うのに適していると思います。現に、2024年の世界大会(北海道・函館開催)では選手登録制度が先行エントリーに利用されており、実績もあります。

現状、選手登録制度は「日本選手権の地方予選のエントリー」にしか使われていないため、このままだと「無くなって構わない制度」になってしまうため、こうした形で活用するべきです。

シードを考える

とはいっても、選手登録制度は個人で誰でも登録できるため、優先エントリーを考えた場合、もうすこし条件を絞り込む必要があります。

今回記事を作成するにあたって選手登録制度について確認したところ、以下のような記載があったため、「過去の実績」をもとに優先エントリー、つまりシードを設定することが可能だと考えます。

モルック選手登録制度の主な目的

1.選手の身元確認と競技資格の確保 競技に参加する選手を正確に識別し、競技資格の確認をするための手段とします。

2.競技者のプロフィール管理 競技者の情報や成績などのプロフィールを一元管理します。これにより、競技イベントや代表チームの選考に役立てます。

3.競技組織とのコミュニケーション 競技団体と競技者のコミュニケーションを円滑にするためのツールとなります。競技イベントへの招待や競技規則の変更の通達などが、選手登録制度を通じて行われます。

シードの設定ルール例

  • 過去大会で一定以上の成績を収めた上位◯チームに、優先エントリー権を付与する
  • 対象の大会:最もシンプルなのは同大会の前回成績。少し範囲を広げて過去◯回の公式大会の成績を対象にする
  • 同じチームであること:チームメンバーが変更されている場合は対象外になる。例えば4人中3人以上同メンバーであること、チーム名が変わらないことなど

過去大会の成績は、(協会に記録が残っていれば)遡ってデータをつけることも可能です。また、選手登録制度のIDやユーザー名で出場歴やどのチームで参加していたかといった情報と紐づけることも可能なので、チーム単位の成績だけでなく、個人単位でも管理をすることが可能です。こういった成績管理が進むと、過去大会の成績が良いチーム同士は予選グループを分けるなどの、「難関グループの発生」事故を避けることもできます。

大会のコンセプトはなにか

上記のようなアイデアを提示しましたが、これらは「日本大会、ならびに公式大会が競技大会であること」という前提をもとに考えています。ですが、そもそも日本大会の立ち位置やコンセプトが違えばこの考え方も変わってきます。

たとえば、競技大会ではなく「でっかいカジュアルイベント」「初心者にも沢山参加してほしい」という場合であれば、シード制度は必要なくなったり、全員完全抽選にして参加できなくなったらしょうがないよね、というあり方でも良くなると思います。初心者に来てほしいのであれば経験値によって部門を分けることもできます。

現状では多くの人が競技大会の最高峰である、と認識しているため、実力があったり大会成績を残しているチームやプレーヤーが参加できない可能性があるエントリー制度に対して疑問が飛び交うのだと思います。また、2026年の日本選手権・本戦への出場権もかかった大会であることも、公平性を求める声が強くなる要因です。

エントリーの問題が解決せず、他に競技性や公平性を担保している大会が登場すれば、そちらに選手が流れる可能性もあるので、競技大会として日本大会を掲げるのであれば問題解決を急ぐべきです。合わせて、例えば「チーム人数は4人で揃える」など試合ルールに関しても、対等な条件で臨める環境づくりを検討してほしいところです。

日本モルック協会様へ

日本国内の公式戦は誰もが名誉な大会だと思っております 日本大会、JO、アジア大会等 今回もエントリー漏れが多数あった模様ですが、やはり実力のあるチームに出て頂いて実力あるチームが勝って頂きたい 続く

こちらも敢えてリンクは貼りませんがXから。例えばこういう意見は「日本大会は競技イベントである」という前提にありますが、主催側がカジュアルイベントとして認識していた場合前提が異なる

参加者は意見を送っているか

今回のような「先着制であることによる問題」は、記憶にあるかぎり約5年前から規模はことなれど度々発生している問題ですが、その度に疑問の声はあがるものの、根本的どころか表面的な対応もさほどされないままここまで来てしまっているように感じます。

つまり、選手人口はどんどん増えているものの、それを支える制度面・環境面はあまり進化していないのです。

これについては、選手側と運営側のコミュニケーション不足があり、運営側がSNSを中心に生まれる選手の声を拾い上げていない、もしくは意図的に見なかったことにしているという感はありますが、それと同じように、選手側も協会に対して直接メッセージを送っていないのではと感じます。SNSで書いただけでは本人は満足しますが、コミュニティの状況が改善することはありません。

なので、少しでも意見のあるかたは気軽に問い合わせを送りましょう!ということをお伝えしておきます。

くだけた言い方をすると、SNS上で色々書いている人は瞬間的にストレスを発散して気持ちよくなるのは良いんですが、それを直接運営側に送っていないとすれば、コミュニティには実際あまり貢献していないと認識しています。

協会側もフルタイムで活動しているスタッフがいない現状、趣味の一環としてモルックコミュニティに関わっているという姿勢は選手側と同じであり、限られた時間のリソースで効率的に改善を進める必要があります。そのため、ともにモルックを普及・発展させていくという意識で意見を送り合うことが改善への第一歩といえます。

コミュニティ大会でも先着制を見直す

今回は公式大会の出来事から記事を作成しましたが、「先着制によってエントリーが過熱する」という状況は、地域のコミュニティ大会でも発生しています。とにかく早くエントリーしないと枠が埋まってしまうため、「実際に予定が合うかはさておきとりあえず登録する」といった作法が起こっている状況は、やはり新規ユーザーの参加ハードルを上げてしまう要因となります。

  • エントリー後(やむを得ない場合以外の)キャンセルは次回エントリーが最速でできないようにする
  • 初参加優先枠を設ける

などといった制度は、小規模・中規模の大会であっても用意していいと思います。かつては、「同日にあとから大規模大会が登場し、参加者の大半がそちらに流れた」という悲劇もありました。