
全国のモルックファンの皆様おはようございます。全国モルックカレンダーの編集チームに所属しているカクシトイスタ貝塚です。
今大会は前年に続き悪天候の中開催され、無事終了したのはちょっとした奇跡と言って良いレベルでした。中止になりかねない雨風になったタイミングが何回かあったくらいです。
そんな日本選手権について、予選や出場枠の対象大会も含めてふりかえり、およびより良い大会になるためのアイデアを提案していきます。
はじめに
今回の内容には既存の選手権システムに対して一部改善を求める内容が含まれていますが、現在までの選手権や出場枠対象大会、国別対抗戦、世界大会などに出場した方ないしそれらの大会で活躍した選手の実績を否定する意図はありません。いずれも素晴らしい活躍をしたことは間違いなく、与えられた環境下で全力でプレーする選手の方々を、全国モルックカレンダーは常にリスペクトしています。
コラム概要
今回に関してはかなり量が多くなるので、以下のように2回に分けて公開します。
- ①情報公開、SNS展開、配信など「選手の熱量に応える大会の盛り上げ」について
- ②レギュレーション、予選・本戦ルール、代表選考など「最高峰個人戦のあるべきシステム」について
本記事は2回目として、レギュレーションや予選・本戦システムを中心に書いていきます。
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前回大会後に書いた記事
※正直いうと↑に書いた内容の繰り返しが多いですが、「今も同じ課題が残っているんだ」ということを知ってもらいたいので改めて書いていきます。
ざっくりとした結論
今回はそれぞれのトピックについて細かく考えていますが、色々考えたうえで結論を出すとしたら以下の4点になるかなと思います。
- 協会自身が「選手権という個人戦最高峰の大会をどういうものにしたいのか、どんな大会が見たいのか」が分からない。現状はとりあえず選手権という形をつくって、とりあえず終わらせることが最優先になっているが、もっとモルックや選手、競技シーンに興味を持ったうえでこだわりのある大会のシステムを作ってほしい。
- 各地で活動しているコミュニティ大会や、その運営、参加選手との繋がりを持って欲しい。日本のモルックは非公式のコミュニティに支えられ、運営やPRのノウハウについてもコミュニティが先行している部分がところどころ存在しているため、それらの力を借りることを考えて欲しい。協会がコミュニティの現状をどの程度把握しているのか、やや不透明に感じられます。まずは現状を知ることから始めてほしいと思います。
- (個人的なアイデアとして)選手権の本戦出場者は32か48といった少人数に絞り、本戦の試合数やセット数を増やしより選手のパワーが発揮されるシステムにする。出場権のかかったチーム大会は人数を4人に固定するか、チーム大会は出場枠から除外する。最後の1枠は前日最終予選(LCQ)で決める。
- そもそも代表選考の方法やあり方については、世界大会の結果や代表として出場した選手からのフィードバックを受け反省したうえで再検討する。世界大会が終わる前に次の代表選考のシステムが決まっていて、選考レースが始まっているのは正直なところ疑問が残る。日本チームの勝利を見たいのであれば、振り返りを挟むことを提案する。
公平性を大事にしているらしい
2026/6/1(月)、大会前1週間前を切ったタイミングで、事前に撮影申請をしていた私のもとに以下のメールが届きました。
本メールは、撮影・配信申請をいただいた皆さまへ共通のご案内としてお送りしております。
日本モルック選手権大会本戦の撮影配信にあたり、 選手の皆さまの競技環境の公平性を確保する観点から、撮影クルーによる撮影はコートエリア外から行っていただきますようお願いいたします。
撮影クルーによるコートエリア内からの撮影は認めておりませんので、あらかじめご了承ください。なお、出場選手ご本人が自身の試合を撮影・配信する場合は対戦相手への確認・了承をとって頂いた上で、コートエリア内からの撮影を認めております。
当初計画しているよりも離れた場所から撮影せざるを得なくなり、東京から大阪への遠征でもあるため、一度は現地に向かうのを断念しかけました(結局行ってよかったのですが)。事前に申請した我々と、当日申請した方が同じ条件なのも少しですが疑問があります。
この措置の理由として「競技環境の公平性」というワードが挙げられていました。ということは、協会は大会に際して公平性を重要視しているということになります。スポーツの大会、それも(マイナースポーツであるとはいえ)全国大会だということを考えればもちろん公平性は重んじられるべきですが、わざわざ撮影に制限をかけるほどなら、公平性という観点で他にも改善すべき点があるのでは?という疑問が浮かびました。要は「撮影制限よりも先にこっちじゃないですか?」というポイントです。
時間切れは最終手段であり、なるべく起こってほしくない
今大会は雨風により難易度が格段に上昇したため、50点になるまでにターン数がかかったため、時間切れになる試合が比較的多かったように感じます。他の大会と比較して具体的な数はわかりませんが、自分が認識しているだけでも(決勝トーナメントのみで)3試合はありました。
時間切れ自体は仕方ないものですが、決着の仕方としては不完全燃焼であり、なるべくであれば50点達成による勝敗の決定となってほしいところであります。そのため、そもそもスケジュールが過密ではないのか?ということは疑問として提示しておきたいです。
「ざっくりとした結論」に本戦の人数を減らすことを書きましたが、スケジュールを緩やかにして1試合あたりの時間に余裕をもたせることも目的です。
時間切れ後のターン数は2投ずつに増やす
現状のルールだと時間切れのコール後にはそれぞれ1投ずつ投げることになっていますが、このルールだと得点状況によっては「詰み」が発生しやすくなります。片方がどうあがいても追いつけない状況が出来てしまうのは、公平性の観点では避けたいところです。
数年前にSNSで「ラストターンのコール後は、2投ずつ投げる」というアイデアがあり、これを採用しても良いと思います。必ずしも「詰み」が完全になくなるわけではありませんが、1投ずつよりも負けている側が巻き返す余地があります。
試合の終盤ではタイムアウトを取れないようにする
例えば、<リードしている選手側が、時間切れ間近の試合終盤にタイムアウトを取り、時間を稼いだ結果点数リードにより勝利する>、というパターンは現状のルールでは起こり得るし、与えられた権利を行使しているだけなので規定上はまったく問題ありません。
タイムアウトはあまり認知されていませんが、「1セットにつき1回、考慮時間を増やすために1分取得できる」というルールであり、ルールブックにも記載されているれっきとした権利です。そのため、上記のような試合展開でタイムアウトを取得する、という行為は全く問題ではありません。
ただ、観戦する側としてはあまりこういった不完全な決着はみたくありませんし、もしこれが「テクニック」として競技シーンに普及し、1つの大会で複数ケース見られるようになった場合は、モルックというゲームの本質や本来の面白さから外れてしまうこととなり、なるべく50点で試合が決着するように「試合終了◯分前(または最終セット)はタイムアウトを行使できない」システムを整備していってほしいと思います。
運用できるルールにする
時間の話題でいうと、これはこのブログや個人ブログ、SNSで何度も書いている話なのですが、「1投につき60秒」という投てき時間のルールははっきりいって形骸化し、実運用には至っていません。公式大会の一部試合でのみ適用されていますが、他の試合では運用されていない、そもそもどうやって(セルフジャッジの条件下で)時間を管理・チェックするかという方法がありません。実際に運用するシーンを考慮したうえでルールを改善することを検討してほしいです。
準備ができていないコートがあるのに試合を開始しない
前述のように今大会はスケジュールが過密で、1試合あたりの時間は(いつも通りではありますが)短く設定されています。さらにグラウンド状況により時間切れが発生しやすい環境でありました。
ですが、ベスト16のひできち選手 vs Yu Miyauchi選手の試合に関しては、両者がその前の試合を時間いっぱい使ったため試合間は5分よりもさらに短く、すぐ次の試合に行かなければならない状況でした。休憩する間もなく急いでいましたが、なんと、両者がコートに到着する前に試合開始のアナウンスがされてしまったのです。
結果として、この試合は時間切れになってしまい、50点になる前に決着をする形となっていました。ルールなので仕方ないとは言え、選手の準備が出来ているかを確認していれば起こらなかった可能性もあります。60コート近く動いている予選ではなく、8コートに絞られたベスト16での出来事だったため、確認をしてほしい場面でした。
※ちなみに、同じように「準備ができていないのに試合を始めてしまう」という事象は、2025年のジャパンオープン(厚木開催)準決勝でもありました。
審判が立ち会う試合を増やす
今大会は決勝と3位決定戦に協会スタッフが審判として立ち会っていましたが、言い換えれば「決勝と3決のみ」しか第三者の立ち会いがない、ということが言えます。
代表選考としてみると、そのうち2名が確定する準決勝はかなり重要な試合です。この試合に関してはそれまでの試合と同じくセルフジャッジで運用されていましたが、決勝・3決とおなじく2コート開催であることを考えると、立ち会うための人員は足りていたのではないでしょうか。
特殊フォルトや反則に関するルールをもっと浸透させる
※こめ選手からSNS上で言及があったため、一部内容を訂正しております。以下文章は「公式・非公式問わず大会ではセルフジャッジが多いという構造上の問題によりルールが浸透していないため、コミュニティ全体で改善に取り組む必要がある」という意図で記載したものですが、表現の不足により、選手個人の注意や準備が不足した、という認識となってもおかしくない内容となっていました。今後は具体的な事象については選手や関係者へのヒアリングを行ったうえで、誤った認識とならないよう努めます。不快な思いをさせ、申し訳ありませんでした。(貝塚)
3位決定戦の試合では、途中こめ選手が投てきの際に足でモルッカーリを触れてしまい、フォルト(0点)として判定されている場面がありました。こめ選手自身もモルッカーリや投てきエリアに関する規定については理解をしてはいたため故意やルール軽視ではないものの、結果として特殊フォルトと判定されました。
モルッカーリ周りの反則については5年以上前から存在し、たびたび大会で適用されることで話題になっていますが、個人的な感触として、当該選手だけでなく多くの選手の間で(知ってはいるもののしっかりとした)意識付けが依然として十分にされていないように思いますし、間接的ですがそれが象徴的に表面化した場面だと感じています。
これは上に書いた「決勝と3決にしか審判がいない」ということと関連していて、つまりは「最後の試合になると急にルールが厳しくなる」ということが影響していると考えています。本来であればその前、さらに前の試合から審判がいることで、試合を通してルールや細かい反則に関する規定に対する意識づけがより多くの選手や観戦者に伝えられるべきなのですが、セルフジャッジに任せてしまっている(ことで実は特殊フォルトだったものが見逃されている可能性がある)弊害がこういった部分に表れます。
もし、世界大会の国別対抗戦や本戦で日本のプレーヤーが反則や特殊フォルトをおかしてしまい試合に敗れたとしたら、それは選手の責任ではなく、セルフジャッジに頼らざるを得ない現状の体制や、ルール浸透の仕組みづくりが追いついていないこと、トップ選手にルール意識を呼びかけられなかったことは、それぞれモルックコミュニティ全体の責任といえるでしょう。
もちろん現状では協会のスタッフだけでは審判を多くの試合で担当するだけのコストは不足しているので、敗れた選手や、審判ライセンスを持つ方の協力をあおぎ、なるべくセルフジャッジの試合割合を減らすことを目指すべきです。
審判ライセンスってどうなったんだろう
ちなみに審判ライセンスについては存在が危ぶまれるほどに形骸化している(公式大会で審判ライセンスを持つ方が活躍する、という場面を見たことがない)ため、指導員ライセンスと統合すること、オンライン講習での獲得を可能にすること、指導員・審判員用の教材をオンラインで(無償有償はどちらでもいいですが)取得できるようにする、などを検討してほしいです。
選手の良心に依存しないことを目指す
現状はほとんどすべての試合がセルフジャッジですが、これは言ってしまえば選手の良心に依存している状態です。個別のケースまでは把握していませんが、この状況のままにしておくと、本来であれば選手A側が有利な判定になるはずが、強く主張できない・調和を優先するあまり選手B側に有利な判定として試合を進行してしまう、などといったケースが発生し、公平性とは矛盾すると思います。
選手がプレーに集中できる環境にする
上記の「選手の良心に依存する」ということは、「選手がプレー以外の部分に気を使う」ことになります。公平性があるプレー環境を求めるのであれば、眼の前のスキットルに向き合える場が理想だと思います。
歪な予選グループの構造を改善する
本戦の予選は地方予選と同じく、6人グループは総当りであるものの、うち1人とは対戦しない変則的なルールでした。以下のように対戦しない相手の枠が決まっていました:
- 枠A:F
- 枠B:D
- 枠C:E
- 枠D:B
- 枠E:C
- 枠F:A
この変則性だけでも改善する余地があるのですが、さらに指摘すべきところとして、枠A、枠Bの選手は意図的にオープン大会優勝や地方予選1位・2位など、「中でも優秀な成績で出場枠を獲得した選手」が配置されている点です。
A、B枠の選手は比較的優秀なチケット獲得の仕方をしているのですが、A、B枠の直接対決はあり、そのA、BとはそれぞれD、F枠の選手が対戦しないというシステムになっていました。シードの考え方を妥当に反映するのであれば、AとBの直接対決がないようにするのが自然ではないでしょうか。より頑張って予選を抜けた恩恵がないシステムになっていました。
これに関してはそもそも変則総当りはやめるという結論に持っていきたいです。「本選出場者を減らす」という考えに繋がります。
地方予選に関してはもっとひどく、グループの誰かが当日欠席だった場合、「対戦するはずだった選手」は2セット100点を自動的に獲得できるのですが、「そもそも対戦予定がなかった選手」はその2セット勝利を貰えない、というかなり不憫な状況に置かれてしまいます。なにもしていないのにハンデを食らってしまった、という事実が発生したことは「公平性の欠如」と言えるのではないでしょうか?
(というか、1人欠席がわかった時点でそのグループは5人総当りとして運用できたのでは?)
総得点を予選通過条件に絡めない
モルックにおける総得点、ひいては「セットに負けたときの得点」はプレーの優秀さを示すものではありません。例えば:
- ⑫番スキットルがフリーな位置にある場合の38点
- ①番スキットルが前後左右他のスキットルに閉じ込められている場合の49点
では、どちらの方が「より勝利に近い」でしょうか?プレー経験がある人なら、迷わず前者を選びます(前者のほうが1投で50点になる可能性が高い)。ですが、予選通過のルールにおいては、後者のほうが優秀だと判定されてしまいます。これは公平性がある判定方法とは思いません。
総得点を予選通過条件から排除するためには:
- 総当りを2セット先取にする(2セットで終了ではなく、必ず試合の勝敗がつく)
- 勝敗数やセット獲得数が並んだ場合は、直接対決の結果で比較することができます。
- 得点ではなく「50点までの投てき数」とする
- 例えば49点と38点を、どちらも「あと1投」とします。37~26点は「あと2投」…という要領で、得点の比較を排除します。
異なるグループ間で順位比較をしない
本戦では各グループ3位同士を比較し残りの通過者を決定していましたが、この比較は公平性の観点では疑問があります。環境や対戦相手が異なるため、その条件でセット獲得数や得点を比較するのは不自然と言えます。明確に各グループ◯位まで通過とし、グループ間での比較は行わないことが理想です。
スイスドロー式の予選を検討する
しかし総当たり戦もトーナメントも参加人数が増えるほど必要な試合数も大きく増加する大変さがあります。そうした人数が多い大会で採用されることが多いのが「1回戦は全参加者がランダムに対戦し、2回戦以降はそれまでの勝敗が同じ相手から対戦形式を選ぶ」という「スイスドロー」形式です。

「ダブルエリミネーション」や「スイスドロー」って? eスポーツのさまざまな大会形式 | トピックス | extreme 株式会社エクストリーム
上記のように同じ勝敗数の選手同士を当て続けることで、◯試合完了したのち、△勝以上の選手がトーナメント通過、といった形式を取ることができます。
グループの組み合わせバランスも軽減しやすいのでスイスドローは大会の予選に望ましい形です。難点があるとすれば、次の試合の組み合わせをリアルタイムに決める必要があるという点ですが、最近のモルックコミュニティ大会ではフォーム送信による自動反映など、自動化が進んでいますし、トーナメント自動作成サイトにもスイスドローなど様々な形式に対応しているため、成功している事例を採用すれば決して不可能ではないと思います。
※また、チェスでは「対戦相手の強さ」を数値化してタイブレーク(同点決勝)の計算に使う場合があります。
出場枠の割り振りを再検討する
ここまでは公平性という切り口で個別のトピックを挙げましたが、以降は本戦出場枠と代表選考について書いていきます。個人的なアイデアも多く入っていますが、検討材料にしてもらえればと思います。
上に書いたように、予選が6人グループ・5人グループの異なりがある、グループ間の成績比較があるのは歪な状態ですが、その原因は、「何人が本戦に進むのか最後まで分からないシステムにしている」ことが原因です。
さらに言うと、人数が確定しない原因は「チーム戦大会を出場枠対象にしていること」です。ジャパンオープン、日本大会はチーム人数が3~4人、ベンチを含めると6人まで登録が可能(もしかしたら5人かも)だったため、勝ち上がるチームによって出場人数に変動がありうるシステムになっていました。こうした仕様のため、最終的に何人になるかわからず、本戦のシステムの歪になってしまいます。
(公平性でいうとチーム戦の人数が味方と相手で異なる可能性があるルールも、そろそろ見直しの時期に入っています。コミュニティ大会なら自由ですが、公式大会は競技性を優先していいはず。争奪戦になるほどエントリーは来ているわけだし…)
本戦出場者数は必ず◯人になるように設計する
上述したようにチーム戦大会の結果によって本選出場者数は変動する設計になっているのが細かい歪さを生んでいますが、そうならないよう、どういった結果であっても本戦参加者は同じになるように設計すべきです。たとえば:
- チーム大会の結果によって枠が余った場合、次点でどの選手が選ばれるかを事前に決めておく
- 例えば△△地方?位の選手が繰り上がりになるなどを、システム全体を公開する際に発表する。どの地方から、というのは地方予選の枠数を決める方法を流用できる。別に地方予選でなく、個人戦オープン大会(現状だったら全国レク)の次点を繰り上げる、など
- 繰り上がりの序列を公開するのは、公平性と透明性の観点で必須
国別対抗戦に日本が3人で挑んでいる理由?
余談ですが、国別対抗戦は(自分が認知した2022年からは)毎回3人構成で日本チームが参加しています。他のチームは4人で出場していることもありますが、日本チームが代表チームを3人としているのは、(戦術面以外の内部的な事情もあるかもしれませんが、)3人構成が4人に比べ有利だと認識しているからではないでしょうか。
前日最終予選(LCQ)を開催する
選手個人の事情など様々な理由によりどうしても空き枠ができる可能性はあるので、それの調整として「前日最終予選(Last Chance Qualifier)」を開催します。
その名の通り本戦の前日、同じ会場で開催し、オープン大会として本戦出場権を求める選手は全員が参加可能です。元から1枠を用意しておき、事情により空き枠ができたらその分LCQの枠を増やすことで、本戦の参加者調整もできます。選手にとっても、ラストチャンスとして挑戦することができるし、大会の盛り上がりにも貢献し、負けたとしてもついでに本戦も観に行って応援しよう!という行動を促します。
本戦出場枠は32か48枠にする
これはかなり影響が大きい提案ですが、本選出場者の枠は減らしていいと考えています。理由としてはスケジュールが最も大きく、現状128人以上の個人戦を1日で終わらそうとしているので、ここまでに書いたように過密なタイムテーブルとなり、アクシデントがあった際のバッファが無いに等しいのが心配です。
そのため、1日開催のままであれば32か48、64だとちょっと多いかもしれませんが参加枠は絞り、その分試合間に十分休める時間を設けたり、予選グループから2先で勝敗が決着するようにする(より納得性のある予選結果にする)、トーナメントも3先の試合を増やすことで密度を重視したいと考えています。
その分出場枠が減ってしまうのでより本戦に行くことが難しくなりますが、大会を安全に進行するのであればこのくらいにするか、2日開催にするかの2択だと思います。
すごく個人的な意見としては、全体の出場枠を絞るので、(上に色々書いておいて、ですが)チーム大会は出場枠の対象外にしても良いのかな、というくらいです。日本大会とジャパンオープン、さらにビーチシリーズや(2027では対象に入っている)学生大会とチーム大会は現状でも複数あるので、全体の数を絞ったとしたらチーム大会枠がかなり圧迫することになります(ビーチは1枠になるならアリ?)。
出場枠のルートを幅広くする
チーム大会を外し、個人戦のみで考えたときの出場枠はルートを広げ、地方予選以外のチャンスを増やすことを提案します。ざっくりいうと、「年間を通して勝ち続けた最強プレイヤー」と「直近の大会でシンデレラボーイ(ガール、パーソン)的に駆け上がってきた旬のプレイヤー」が少数精鋭の舞台でぶつかる構造を目指します。
- 地方予選
- 前回優勝(または上位◯位まで)枠
- 公式の個人戦オープン大会
- コミュニティ大会の個人戦オープン大会枠
- オープン大会順位ポイントによる出場枠
- 前日最終予選(LCQ)
LCQについては上で書いたので、それ以外についてそれぞれ説明します。
前回優勝(または上位)枠
大会の面白さ(エンタメ)の観点でも前回王者はいてほしいし、その結果や実績を考慮しても十分用意されていい枠だと思います。もし日本チームが国別対抗戦で優勝したときに、そのうち1人しか翌年の本戦にいないという場合はちょっと気まずさもあるので、上位3枠という選択肢もあります。
公式の個人戦オープン大会枠
現在でいう全国レク大会のような、公式が主催もしくは開催に関わっているオープン大会です。
コミュニティ大会の個人戦オープン大会枠
協会が主催ではなく、全国各地の団体が主催している、いわゆる「コミュニティ大会」の個人戦に対して、優勝や上位◯名にたいして出場枠を設けるというアイデアです。
理由としては、
- 毎年または◯か月おきなど、定期的に大きな大会を主催する団体が増えたこと
- ↑のような大会は地域のモルックコミュニティに根付いており、信頼や支持を得ていること
- 協会並、もしくはそれよりも多くの運営経験を積んでおり、運営も信頼できる大会が増えていること
- こうした大会で結果を残すことが実績として誇れる=「格がある」大会として認識されていること
といったところです。2024年まではポイントレース形式でこうしたコミュニティ大会(チーム戦も含めでしたが)が順位によるポイント対象になっていて、そのときは「レギュレーションが大会によってバラバラ」「運営が不慣れで不安要素があった」「ポイントの配点バランスに問題があった」「運営と協会の連携がうまく取れていなかった(取れているようには見えなかった)」などの課題がありましたが、現在は各地のコミュニティ大会を運営する団体に力がついているので、以下の点を守れば十分可能だと思います。
- レギュレーションをある程度統一する、最低限守るポイントの線引をする
- 過去の開催実績から対象の大会を選定する
- コミュニティ大会運営と協会が密に連携する
考えられる反論として「候補に上がるような大会の運営が公認ではい(地域団体ではない)」というものがありますが、団体そのものではなく個別の大会について公認を付与するような形でも実現できると思います。「実力のあるプレーヤーを広く募る」ことで選手権やそれまでの出場権争いを盛り上げる、ということを目指すべきです(自分たちでつくった構造や制度に制限される必要はないはず)。
対象となるコミュニティ大会は、1日で終わるトーナメント以外にも、複数開催により総合順位を競うシリーズ型の大会があってもいいでしょう。
オープン大会順位ポイントによる出場枠
- 公式の個人戦オープン大会
- コミュニティ大会の個人戦オープン大会枠
は、優勝などの成績に応じて与えられる「一発通過枠」ですが、各大会の「一発通過にはならないが好成績の順位」にポイントを付与し、すべての対象大会が終了したあとに「(既に出場枠を持っている選手を除いた)ポイント上位◯名」が追加で本戦枠を得る、という形式です。
例えば、あるオープン大会の一発通過枠が上位2名までだとすると、それに次ぐ3位には100P、4位80P、5位60P…と上位選手にポイントが与えられます。他のオープン大会でも同様に配点され、最終的にポイントの上位◯名も本戦に出場できる、という形式です。
コミュニティ大会やポイント枠を用意するのは、「モチベーションのある選手に応える」「出場権を得るチャンスを増やす」あたりが理由です。代表選考に絡めるならばモチベーションは重要だと思っていて、代表に内定してから本番までの約2か月でしっかり準備してくれるような選手のほうが、国別対抗戦で結果を残すことを意識するならばより適しているからです。あくまで協会側が「国別で優勝したい!」と思っていれば、というのが前提ですが。
コミュニティがあってこその競技シーンであることを認識する
コミュニティ大会に出場権を設定するというアイデアの背景には、公式大会や世界大会などに発展していく、ストイックに勝敗を重視する「競技シーン」の存在は、各地のコミュニティの存在なくして成り立たないという現状があり、具体的な繋がりをつくることでコミュニティが長く続いていく後押しをしたいという個人的な考えがあります。
別業界の例として、格闘ゲームの世界大会は、そのゲームタイトルを開発しているゲーム会社が年に1回開催しますが、その出場権争いを1年かけて行う「ツアー」の舞台は、各地のゲームコミュニティが開催するイベント内に用意されます。それらのコミュニティ大会は、今でこそスポンサーがついたりプロチームが参加したりとビジネス色を持っていますが、発足当初はただそのゲームが楽しくて活動している人々によってゼロから作られており、ゲーム会社の公式的な動きとはまったく別のものとして生まれたものがほとんどです。そういったコミュニティ発の盛り上がりをゲーム会社が受け入れ協力することで、世界大会のシステムが成立しています。
モルックにおいても似たような構図になっており、各地のコミュニティによる大会だけではなく、練習会や体験会、表立って名前があるわけでもないモルック愛好者による集まりも含めて、様々な場所や世代でモルックがプレーされることにより、(もちろんメディアの力が最も大きいですが)モルックの存在感や認知度向上につながっているのは(確実な数字はありませんが)ほぼほぼ間違いないと言っていいでしょう。
こうしたコミュニティの活躍があるからこそ、現状のように公式大会とコミュニティ大会に一定の距離が空いている、ぶつ切りで、パーテーションが置かれているような状態よりも、コミュニティ大会の延長線上に公式大会が存在する、といった地図を作っていって欲しいと願っています。
別件:シードの設定
出場枠案として「前回優勝(または上位)枠」を挙げましたが、似たような考えとして大会におけるシードを整備していくべきだと思います。シードの種類としては、
- 地方予選のシード
- 公式オープン大会のシード
があり、シードの材料としては前回大会の成績や、それ以前も含めた公式大会、国際大会の成績を、共通の計算式(当然ですが、印象や直感ではなく事実をもとに決定する)を用いて反映する、といったイメージです。まずは細かく設定する必要はなく、数人のみシード選手とするなど徐々に広げていくやり方で良いと思います。
シードの有効性
シードを設定するメリットとしては以下のようなものがあり、個人的にはシードのメリットは初心者側に対してもあると思っています。
- 非シード選手(実績がまだない・もしくは初心者や大会経験が少ない選手)が予選において強豪が多いグループに巻き込まれにくくなる
- 強豪同士のつぶしあいが減る
- 好カードの実現(大会終盤の盛り上がり)
選手登録制度に成績を記録する
シードを計算する場合に過去成績が必要になりますが、その際に過去の結果が記録されていることが必須となりますが、日本モルック協会の選手登録に関する説明には以下のように記載があり、おそらく結果はデータとして保存されていると思われます。そのため、不可能ではないはずです。
2.競技者のプロフィール管理
競技者の情報や成績などのプロフィールを一元管理します。これにより、競技イベントや代表チームの選考に役立てます。
チーム大会にもシードを検討する
チーム大会の場合、モルックはチームメンバーの変動が多い(大会ごとに新規のチームを組み直すパターンも多い)ので、
- 4人大会の場合は3人以上同じならシード対象にできる(2人以上変更していたら無効にする)
- チーム名やチーム情報が同じであること
などの条件つきであればシード設定作業は進められると思います。もちろん、チーム大会の記録およびチームの内訳が必要になります。
※ゲームなどの大会だと start.gg のような共通のトーナメント管理システムが使用され、選手は自分のアカウントで大会にエントリーするため成績が自動的に蓄積され、運営側シード検討に必要な情報が整理されるような仕組みができあがっています。
※また、シードとは別に「グループ予選で同地域や同チームがぶつからないようにする」なども対応できると思います。2024世界大会では、海外チームは各グループ1チームになるように分けられていた前例があるので、不可能ではないはずです。
さいごに
目指している日本選手権と代表選考のすがたを知りたい
現状の日本選手権と代表選考については、運営側としては無事完結することを最優先して計画、進行しているかと思います。もちろん完走できなければ元も子もないので最重要事項ですが、次が3年目になるというタイミングでもあるので、このあたりで協会としてどういう選手権にしたいかというこだわりを、選手権システムに反映してほしいと思っています。
そもそも国別対抗戦について、日本チームを優勝させたいのか?という点に関しては改めて知りたい部分です。2025-26の選手権システムは、2025のポーランド世界大会の最中に発表されたものであり、また、2026-27シーズンについては、2026フィンランド大会が始まる前に(ビーチシリーズの資料とともに)発表されました。こういったタイミングでの発表は、国別対抗戦や世界大会本戦の結果や試合内容、選手やスタッフからのフィードバック、協会内部での反省や振り返りが出揃う前に次の選手権の形が決まっているということを意味しています。
例えば、個人の選抜で代表選手を決定していますが、チーム単位で決めるということも、もちろん選択肢として存在します。
そのため、「日本チームが勝利するためにこういった選手権や選考システムにするべきだ」という「こだわり」が大会形式に注入されるよりも前に、とりあえず運営が完走できるシステムにする、という点が優先されているように感じてしまいます。
もし協会の最優先事項が「競技性の追求(世界での勝利)」ではなく「親睦や普及」にあるならば、現行のシステムも一理あります。しかし、ただ、普及という意味合いでも、国際大会で日本の選手が活躍するというニュースには間違いなく価値があり、普及面でも貢献すると思います。
※ちなみに協会は代表チームに「木魂ジャパン(こだまじゃぱん)」という愛称を命名しており、代表チームや世界大会を盛り上げよう、応援しようという意向はあると認識しています。
どういう形にするにしてもメリット・デメリット、称賛と批判はうまれますが、「こういう大会が見たいんだ」「こういう選手を代表で見たい」くらいの気持ちで采配を振るってほしいと思います。個人の話ですが、自分が大会やイベントを考えるときは自分がみたいもの、自分が一番そのイベントを楽しむために計画し、それが他の人に運よく刺されば良いなくらいの感覚で動いています。
コミュニティと連携する
ここまでも繰り返し書いていますが、モルックの盛り上がりを支えているコミュニティと連携し公式大会もつくっていくような形が望ましいと思います。たとえば地方予選についても、その土地の団体から情報を得ることでより良い場所の選定ができる可能性があります。まずは、各地の練習会や大会で交流し、いま何が起こっているのかを体感してほしいです。

