
本記事は2026年3月22日開催の「Mölkky Mania THE FINAL(モルマニファイナル)」特別企画として、大会運営のMölkky Mania様から寄稿いただいた内容を掲載しています。
2026年3月、各地の王者が一堂に会するMölkky Mania Presents 2025 FINAL CHAMPIONSHIP。今回ご紹介するのは、9月に開催されたMölkky Mania Tokyo -OPEN- vol.3で見事優勝を飾った「たしくら」のお二人です。
- 1. 新宿の貸しロッカーから「バックハンド」を求めて:たし(田代信之)
- 2. 「実力半分、運半分」のヒリつきを愛する男:くらた(倉田佑真)
- いざ、FINAL CHAMPIONSHIPへ!
- 全国モルックカレンダーニュースについて
チーム名は、お互いの名前の頭文字を二文字ずつ取って名付けられました。
結成の経緯について、くらたさんは「たしさんはモルック界隈で僕らの面倒を大きく見てくれている人。前から一緒にやりたくて、根気強くお願いした」と熱い思いを語ります。しかし一方のたしさんは「たまたま大会で『今度出ませんか』と誘われて『じゃあ行きましょう』くらいの感じだったと理解していました(笑)」と、二人の記憶に少し温度差があるのもご愛嬌です。
「どっちか外してもどっちか当てる」という抜群の補完関係を見せた二人の、それぞれのモルックへの向き合い方と、隠されたエピソードに迫ります。

1. 新宿の貸しロッカーから「バックハンド」を求めて:たし(田代信之)
【所属チーム:武蔵野、杉玉ファンクラブ】
モルック歴5年。「FPS」や「RCカー」といった趣味を持ち、もともとスポーツをやるタイプではなかったというたしさん。テレビ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』で、さらば青春の光の森田さんがモルックを紹介しているのを見たのが始まりでした。

「たし」と「杉玉ファンクラブ」の由来
モルックネームの「たし」は、苗字である田代から取られています。モルックを始めたての頃、初めて参加した練習会で、他の参加者がニックネームを使っているのを目にしました。下の名前である「ノブユキ」の「ノブ」では誰かと被るかもしれないと考えたものの、全く違う名前だと違和感があるため、名字の上二文字を取って「たし」と名乗ることにしました。ちなみにプライベートでは全く使われないそうです。
また、所属チームの一つである「杉玉ファンクラブ」は、お寿司屋さんのチェーン店「杉玉」が由来。モルマニの帰りに行くのが楽しみで、「杉玉行こうぜ」という合言葉からそのままチーム名にしてしまいました。最初は「すぎたま」だと思っていたそうですが、お店の看板のローマ字表記を見て「すぎだま」だと知ったという微笑ましいエピソードもあります。
挫折を乗り越えさせた「仲間の存在」と「努力の成果」
スポーツ経験が少なかった彼が5年もモルックを続けられた理由は、仲間の存在と、努力が結果に結びつきやすい競技性にあります。
「全く歯が立たなかったら辞めていたと思いますし、一人でずっとやっていたらここまで続いたかはわかりません。スランプでうまくいかず『もういいかな』と思った時期もありましたが、そんな時に声をかけてくれる人がいたから戻ってこられました。練習した分だけ成果が出やすく、やればやるほどコミュニティが広がっていくのが楽しみです」と語ります。
「バックハンド」の挫折と進化、そして完成へ
たしさんの技術を語る上で絶対に欠かせないのが、「バックハンド」の存在です。
もともとは基本的な投擲は順手で投げていましたが、ある程度のところで頭打ちを感じていました。ふとバックハンドを試したところ、「そっちの方が当たる」と気づき、そこから1年半ほどバックハンドを投げ続けます。
しかし、2年半前の新潟での大会で転機が訪れます。人工芝のような特殊なコートでバックハンドが極端に跳ねてしまい、全くうまくいきませんでした。そこから再び順手に戻し、さらに1年半が経過。「もうこのままでいいか」と思っていた頃に開催された『モルックバックハンド大会2025』。昔の経験を活かして参加し、少し投げ方を変えてみたところ、その良さを再認識して見事優勝を果たしました。「常にアップデートさせている」と語る彼のバックハンドは、順手のレベルアップとも相まって、紆余曲折を経て今まさに最強の状態に仕上がっています。
新宿の貸しロッカーと毎日の練習
彼の強さを裏から支えるのは、圧倒的な練習への執念です。新宿に月極の貸しロッカーを借り、そこにマイモルックを常備。仕事が終わってから毎日そこへ通い、一人で練習を重ねていた時期もありました。現在も「公式大会ベスト8以内」という今年の目標に向けて、黙々と腕を磨き続けています。
2. 「実力半分、運半分」のヒリつきを愛する男:くらた(倉田佑真)
【所属チーム:SLAPS】
モルック歴約4年。YouTubeの「さらば青春の光」のチャンネルがきっかけで競技を知り、野球の経験を持つくらたさん。彼のモルックネームの裏には、不思議なこだわりがありました。

愛着と名前負けの「ゴンザレス」
彼には「ゴンザレス」というモルックネームがありますが、大会で使ったのは過去3回ほど。本人曰く「あんまりよろしくない、強くなかった。もう名前負けしている」とのこと。何度も改名し、色々な名前で出てはみたもののどれもイマイチで、結局「一番最初に作って愛着があるから」という理由でゴンザレスを名乗ることもあるそうです。ちなみに、彼が一番強い時のモルックネームは、自身の名字である「くらた」だと言います。
「実力と運」が織りなす極限のドラマ
友達と軽い気持ちで参加した2022年5月の東京大会。そこでたまたま運良く予選を16チーム中2位で突破し、「意外といけるんじゃね?」と感じたことが、モルックにのめり込むきっかけでした。ちなみにこの大会で、彼はたしさんと対戦していたのですが、当時はお互い全く気づいていなかったという運命的なエピソードもあります。
彼がモルックに惹かれる最大の理由は、その絶妙なゲームバランスです。
「圧倒的な実力主義で勝つわけでもないし、練習しなかったら勝てるようなものでもない。実力半分、運半分みたいなところがあって、そこで勝ったり負けたりするのがおもしろいんです。意外とこんなに長く続ける趣味だと思っていませんでしたが、モルックの友達とモルック以外のことで遊んだり、コミュニティの繋がりがあるのも楽しいですね」と語ります。
トップクラスの実力を持っていながらも、彼は「運で負けることはあるものだと思ってやっている」という境地にいます。「自分たちも運で勝っているし、試合中は後ろでめちゃくちゃお祈りしています。実力だけだとあんまりヒリつかない。祈る瞬間がある方が楽しいんです」と、勝負の不確実性すらも楽しむ心の余裕を持っています。
最大の武器、「強順手」
くらたさんの最大の武器は、他のプレーヤーでは滅多に見られない、棒の速度が速い投擲です。くらたさん自身はこれを「強順手」と呼んでいます。
「元々、順手を速く投げようとは思っていなかったのですが、ある大会である人の順手の強い投擲に感化され、強順手の練習を始めました」
一般に力を入れて投げると思ったように棒をコントロールできないことが多いですが、くらたさんは独自の練習を行って、強順手をものにしました。
「最初は別にコントロールとかどうでもいいからとりあえず速くしようと思って。棒を10本ぐらい準備して、スキットルさえ立てずに壁にぶん投げて。当たる当たんないはどうでもいいからとりあえず棒が水平に飛べばいい。」
この練習に行き着く先が、スピードに精度までを兼ね備えたオンリーワンの強順手となっています。
「酒は飲んでも飲まれるな」の教訓
くらたさんには、今年の目標として掲げている切実なテーマがあります。それは「大会後に酔っ払って終電を逃してしまわないこと」。
昨年の川崎でのモルマニ大会後、いつものように居酒屋へ行った彼は、気づけば神奈川の奥地まで行ってしまい、深夜0時半に終電を逃してしまいました。ニッチな場所すぎて周りに何もなく、悲しみの中、2万円をかけてタクシーで帰宅したという苦い経験を持っています。
「去年一番悲しかった出来事」と振り返る彼ですが、今回の優勝大会についても「酔ってて試合の記憶がないです」と豪快に笑います。しかし、そんな状態でも「たしさんのガッツポーズ」と「くらたさんの戦略」が完璧に噛み合い、見事優勝を果たしました。
いざ、FINAL CHAMPIONSHIPへ!
3月のファイナルに向けて、二人の意気込みは非常に対照的でありながら、同じ頂点を見据えています。
たしさんは「モルマニの頂点に立ちます!」と、静かなる闘志を燃やし、真っ直ぐに優勝を宣言。
一方のくらたさんは「酒は飲んでも飲まれるな、で頑張ります」と、彼らしいユーモアを交えながらも、最後の大舞台への決意を語ります。 たしさんの「どんな場面でも当ててくれる」という安心感と、それを信じて試合を組み立てるくらたさんの「戦略」、そして後ろで見守る「お祈り」。
「どっちか外してもどっちか当てる」という最強のチームワークと、笑いあり、ドラマありの「たしくら」の二人が、全国の猛者が集うファイナルの舞台で、一体どんな戦いを見せてくれるのか。
確かな実力と運を味方につけた彼らの快進撃から、目が離せません。
取材・文:Mölkky Mania 永濵侑
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