
本記事は2026年3月22日開催の「Mölkky Mania THE FINAL(モルマニファイナル)」特別企画として、大会運営のMölkky Mania様から寄稿いただいた内容を掲載しています。
2026年3月、各地の王者が一堂に会するMölkky Mania Presents 2025 FINAL CHAMPIONSHIP。今回ご紹介するのは、11月に開催されたMölkky Mania Sendai -OPEN- vol.2で見事優勝を飾った山形県の「SMA KD」のお二人です。
チーム名の「SMA」は、彼らが普段活動しているチーム「庄内モルックアカデミー」の略称であり、その後ろに小野賢人さん(K)と大介さん(D)のお互いの名前のイニシャルを組み合わせたのが由来です。
今大会でのチーム結成の経緯は、「出れた人で組んだだけ」という非常にシンプルなもの。というのも、SMAから出場したもう1チームが前回の優勝チームであったため、チーム内で残ったメンバーによるマッチングで自然とこのペアが誕生したのです。
モルック歴6年目で東北のモルック界を牽引してきた「古参」の小野さんと、歴1年ちょっとでありながら驚異的な練習量で急成長を遂げた「新鋭」の大介さん。「古参と新鋭の融合」をチームのチャームポイントに掲げる二人の歩みと、互いへの深い尊敬と信頼で仙台の地を制した強さの秘密に迫ります。

1. 東北モルック界を開拓したベテラン:小野賢人
【所属チーム:SMA】
モルックネーム「酒田米菓 小野」として知られる彼は、第9回日本大会ベスト4、第2回アジア大会ベスト4など、数々の輝かしい戦績を誇る実力者です。

コロナ禍の部活動から始まった開拓の道
サッカーの経験を持つ小野さんがモルックに出会ったのは、6年前のコロナ禍のことでした。所属する酒田米菓(山形県の企業)で、自身の部下であり、後に2025年で活動を終了した日本の強豪チームRATELのメンバーでもあったある人から「非接触スポーツとしてやってみませんか」と誘われたのが始まりです。
昼休みに3人で始めたモルックは、やがて各自で朝練を行うほどに白熱しました。さらに、YouTubeの企画で「さらば青春の光」の森田さんに勝利して10万円を獲得。その全額を使って地元・酒田市の行政にモルックセットを寄付し、地方自治体を通じて配布してもらうなど、地域への普及に多大な貢献を果たしました。
仕事と家以外の「自分の居場所」
一度東京に出た後、地元に戻ってきた小野さん。「地元に戻ってくるとやっぱり暇なんですよね」と当時を振り返りますが、モルックが仕事と家以外の「自分の居場所」を与えてくれました。
SMAのメンバーは20代から60代まで幅広く、歳の近いメンバーたちと切磋琢磨する日々。「熱中する中で自分の成長が鈍化して嫌になることもあるが、そういう時こそ自分と向き合うきっかけになる」と、モルックを通じた精神的な成長を語ります。また、「戦略一つをとっても人それぞれの性格が出るのが、モルックを通じた交流やSMAの面白味」とも感じています。
砂地を思い描く「自己暗示」のメンタルコントロール
小野さんの強さは、圧倒的な練習量と精神的なコントロールにあります。SMAでは週末になると朝5時からの朝練に始まり、午前、午後、夕方から夜まで一日中モルック漬け。平日も大会前には夕方6時から9時まで公園でメンバーと投げ込んでいます。
試合本番の緊張を和らげるため、小野さんは「いつもの練習風景を頭に浮かべる」ことを徹底しています。優勝した仙台大会は芝のグラウンドで「余計に当たらない」難しい環境でしたが、普段練習している公園の「砂地」の景色を思い描き、「ここは砂だ」と自分に暗示をかけることで、持ち前の繊細な投擲を維持し続けました。
2. 驚異の集中力を誇る新鋭:大介
【所属チーム:SMA】
モルック歴は1年と数ヶ月(2024年11月〜)。モルックネームは本名を使用しています。ソフトテニス、山岳、スポーツチャンバラの経験を持ち、現在はSMAの戦力として県外の舞台で活躍することを目標に掲げています。

地元の大会での準優勝が転機に
大介さんがモルックを始めたのは、同級生に「酒田市の大会に出よう」と気軽な気持ちで誘われたことがきっかけでした。その大会に同級生とは別のチームとして出場し、見事準優勝を果たして活躍できたことで面白さに気づき、大会で宣伝されていたSMAに出会いました。
彼がモルックに惹かれる最大の理由は「棒がスキットルに当たった時の良い音」と、「ダーツと違って毎回距離が変わる難しさ」にあります。「同じシチュエーションになることがない中で、良いプレーができた時のアドレナリンを感じられるのが醍醐味」と語ります。
週7日の孤独な練習と「自分という鏡」
大介さんの急成長を支えたのは、異常なまでの練習量です。昨年の秋頃には仕事帰りの道中にある「いい場所」で、一人で週7日ほぼ毎日練習をしていました。「自分対自分で、自分という鏡と戦っている時間が一番自分と向き合える気がして好き」と語る一人練習。簡単なイージーミスが出る一方で、難しい配置の方がテンションが上がり決めやすいなど、自分自身の様々な一面を知ることができたと言います。
やりすぎた結果、膝を怪我してしまい、最近は雪が降ったこともあって練習量は減りましたが、「足も治ってきたし、晴れればまたやれるだけやりたい。練習自体が楽しい」と情熱は全く衰えていません。
朝6時から12時までぶっ通しの練習が生む「途切れない集中力」
大介さん自身は「器用貧乏で突出したものはない」と謙遜しますが、小野さんは彼の最大の武器を「集中力の安定具合」だと高く評価しています。「静かに集中している中で精度が落ちづらい。本人は今イップスになっていると言っているが、恐怖に打ち勝つゾーンに入ればさらに面白くなるはずだ」と太鼓判を押します。
これに対し大介さんは「シンプルに練習時間が長いから。公園で朝6時から12時までぶっ通しでやったりしているので、大会の数時間で集中力が切れることはない」と冷静に分析します。投擲前には「一度空を見る、場から完全に目を背ける、棒を置く、深呼吸する、水を飲む」など、できる限りのルーティンを行い、心を落ち着かせてからショットに臨んでいます。
3. 「庄内のストロングスタイル」と信頼の勝利
仙台大会の優勝要因として、大介さんは「ペアへの尊敬と信頼」を挙げます。「自分が選ばないような戦略を、信じて自分に託してくれたこと」がプレッシャーを自信に変え、チームを勝利へ導きました。
また、小野さんが語る「山形の庄内らしいストロングスタイル(攻めの一手)」と、後手での「ゆるガシャ」の使い分けが見事にハマりました。「ゆるガシャ」とは、スキットルが外に出ないようにゆるく投げて本数を倒しに行く技術のことです。大介さんのゆるガシャと、大介さんもチャームポイントに挙げる小野さんの繊細な投擲。古参の経験と新鋭の度胸が、最高の形で噛み合った瞬間でした。
いざ、FINAL CHAMPIONSHIPへ!
3月のファイナルに向けて、二人の視線は真っ直ぐに頂点を見据えています。
小野さんは「優勝あるのみ。JMA主催の主要大会でも優勝したい」と、ベテランらしい力強い目標を掲げます。
一方の大介さんは、過去に初めて出場した県外大会で極度の緊張に襲われ、まともに投げられず一勝もできなかったという「どん底」の経験を持っています。その大会が行われたのが、他でもない「丸子橋のグラウンド」でした。「いつかここに戻ってこよう」と誓い練習を重ねてきた彼にとって、3月のモルマニファイナルで再び丸子橋へ向かうことは大きなターニングポイントであり、巡り合わせでもあります。「SMAの戦力として県外の舞台で活躍する」という決意とともに、「庄内クオリティをとくとご覧あれ」と力強く語ってくれました。
雪国・山形で熱く燃え上がる庄内モルックアカデミーの誇りを胸に、因縁の地・丸子橋でSMA KDの二人がどのようなドラマを描き出すのか。 古参と新鋭の完璧な融合が、全国の舞台で再び旋風を巻き起こします。
取材・文:Mölkky Mania 永濵侑
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