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【コラム】モルック世界大会2025の現地配信がかなり充実していたので、日本でも真似していきたい

全国のモルックファンの皆様おはようございます。全国モルックカレンダーの編集チームに所属しているカクシトイスタ貝塚です。

不定期でお送りしているコラム記事ですが、今回は先日終了した2026年モルック世界大会における、現地からのライブ配信映像が素晴らしかった!ということを伝えたいと思います。

そして、こうした配信環境の整備は、プレー人口の多い日本にとってかなり求められる要素なので、真似していくためにすべきことを考えていきます。

ℹ️INFO

Geminiによる要約...ポーランドで開催された2026年モルック世界大会のライブ配信は、多くの試合を配信し、見やすいテロップやカメラワーク、結果速報サイトの充実、絶妙な試合カードのセレクト、選手による解説など、5つの点で素晴らしかったと述べられています。特に、試合をメインコンテンツとして捉え、視聴者にとって価値のある配信を行うべきだと提言しており、日本でもこれらの点を参考に配信文化を育てていくべきだと論じています。

ポーランド現地配信のここがよかった

2026年8月に開催されたモルック世界大会は、ポーランドで開催されました。昨年日本初開催となった函館以外、これまでヨーロッパのフィンランドやフランスなどで行われてきましたが、現地にいないかぎりなかなか状況がわからなかったため、結果などは遅れて知ることになっていました。

しかし、ポーランド大会はライブ配信がかなり充実していました。国別対抗戦~本戦の決勝まで3日間配信が行われており、ポーランド連盟の許可をいただき、私の運営するYouTubeチャンネルで日本語解説ミラーを行いましたが、快適な現地映像により楽しく観戦することができました。

blog.jajapatatas.com

ポーランド連盟 YouTubeチャンネル

日本語ミラー配信(最終日)

では何がよかったのかを簡単に説明すると、

  • 1️⃣予選1試合目からたくさん試合を配信している
  • 2️⃣観る側がほしいテロップやカメラワーク
  • 3️⃣結果速報サイトも充実・配信外の結果もすぐわかる
  • 4️⃣試合カードのセレクトが「理解ってる」
  • 5️⃣選手による解説

と、主に5点になると思います。以下、個別に詳しく説明していきます。

また、日本における大会配信もこういったポイントは真似できると思います。機材やスタッフの労力など事情はありますが、1️⃣、4️⃣、5️⃣あたりはすぐにでも参考にできるのではないでしょうか。

1️⃣予選1試合目からたくさん試合を配信している

世界大会は3日間にわたって国別対抗戦と本戦の2部門がおこなわれましたが、その両方において予選の1試合目から決勝戦まで、そのラウンドの注目カードが配信されていました。

ミラー配信を行った堅守速攻モルックチャンネルでは各試合を個別に切り取ってアーカイブ化していますが、なんと32試合も配信されていたことがわかります。

試合別に切り出したアーカイブは今大会だけでもこの数

日本の公式大会でも配信がありますが、基本的に決勝戦のみが対象になっており、それまでの試合を観ることができませんでしたが、準決勝以前の対戦にも注目の試合はたくさんあるので、できるだけ多く配信してくれる方針は観戦側にとってかなりありがたいです。

出場する選手側にとっても、自分の試合が配信されるというのはモチベーションがあがる要素になります。自分のプレーを多くの人に観られるというプレッシャーもありますが、後で見返すことで反省材料にできたり、大会に出場した思い出にも残ります。

また、モルック業界においても、歴史的な資料として多くの試合が残るのは重要です。「名勝負」は決勝以外にも生まれる可能性がありますし、再生数に関係なくアーカイブとして貴重な役割を持ちます。

2️⃣観る側がほしいテロップやカメラワーク

現地配信は「おそらくモルックをよく知る人が担当しているんだろうな~」というカメラワークやテロップが随所に登場しており、見やすい画面構成はとても参考になりました。

基本的には「スキットルの配置」を中心に映しています。観戦勢にとって一番ほしい情報であり、1投ごとに盤面の変化を見せてくれる視聴者への配慮が光りました。

ズームかつ高画質で見れるので、スマホ観戦でも分かりやすい

また、点数とセット、さらにフォルト数のスコア表示はシンプルで最低限なため、画面を邪魔することはありません。

比較に出してしまいますが、前回の日本大会の配信画面。画面下部の大会やスポンサーを表示するテロップが大きく、表示できる情報が少なくなってしまう

また盤面以外にも、様々なカメラワークがあり飽きさせません。おそらくプロの手が入っているんだろうな~というレベル。

状況がわかりやすい上からのカメラ

リプレイ機能も完備

選手の表情もしっかり捉える

極めつけはドローンカメラも

3️⃣結果速報サイトも充実・配信外の結果もすぐわかる

配信だけでなく、大会観戦にとても役立ったのが現地の結果速報サイト。

https://mm2025.molkkify.app/results

おそらく現地の選手が入力する用のサイトであり、選手自身が結果を入力し試合のスケジュールを確認することができますが、誰でも閲覧できるサイトなので、観戦側としても応援しているチームが勝ち進んでいるか、次の相手はどのチームなのかをチェックすることができます。実際に、ミラー配信の試合間で日本勢をはじめとした勝ち残り状況を伝えることができました。

速報がすぐに反映されるので、グループ通過やトーナメントの進出状況をチェックできる。配信がない試合でもサイトの更新だけで楽しい

各スポーツで速報サイトがあり、またゲームの大会用にトーナメントサイトが作成され自由に大会運営者が利用できるようになっていますが、モルックも今後規模が広がればこういった需要も高まると思います。

ただ、モルックは「対戦チーム数が異なることがある(2チーム戦もあれば4チーム戦もある)」「対戦のルールが異なる(セット先取数や総得点制になったりする)」「予選の通過条件が異なる」など大会によって細かいレギュレーションの違いが多く存在するので、そういった点をシステムに落とし込むのはそれなりの難易度があると思います。

ですが、こういった点をクリアして「大会運営者が自由に作成する」「参加者が自分の結果を入力する」「観戦者が最新の結果を確認できる」といった利便性があるシステムが開発されれば、プレーヤー・運営・観戦のそれぞれにとって役立つ存在になります。さらに、システムからライブ配信にリンクしたり、選手やチームの大会実績がデータとして蓄積されればシードの設定も可能になります。

4️⃣試合カードのセレクトが「理解ってる」

配信する試合は「予選グループ第1試合ならコレ」「トーナメント準々決勝ならコレ」といった具合にポーランドの現地配信スタッフがセレクトしているようですが、そのチョイスが絶妙。

  • これまでの世界大会優勝経験があるなどの強豪チーム同士の対戦
  • 各国のチームをバランスよくピックアップ
  • 家族チーム、女性チーム(※)などモルックの多様性が伝わるようなチョイス

などと、単純に「強いチーム」ということだけではないバランスの取れた、「そうそうこれが見たかったんだよ!」と思わせてくれる選出。間違いなくモルック業界の事情に詳しいスタッフが入っていることがわかります。

このような業界の事情に明るい配慮は、単に外部委託して作る配信ではできない、コミュニティが率先してつくりあげることで生まれる良さだと思います。こうした姿勢は、日本のコミュニティも参考にしていきたい面です。たとえば外部のメディアが取材に来た際など、どういったところを取り上げてほしいのかをコミュニティ運営側が積極的に伝える必要があります。

※女性プレーヤーが実力的に劣るととられかねないような書き方をしてしまいましたが、今年も去年も決勝に女性プレーヤーが残っていることからも、まったくひけをとらないことが分かります

予選は事前に配信台のリストが公開されていました。キングオブモルックはじめ日本勢の注目チーム、海外大会常連チームがピックアップ。決勝トーナメント以降はその場でセレクトしていたようです

5️⃣選手による解説

現地配信の解説席には、(おそらく)試合のないタイミング、もしくは敗れて試合が終わった選手が入れ替わりで登場。選手目線で試合のポイントを語ったり、現地の様子を紹介。(英語メインなので部分部分ですが)世界大会で久しぶりに会う他国の選手について語るなど、1年に1回の交流を楽しむ様子も見られました。解説には日本からも(日本協会会長の)八ツ賀さんや、(BOYCOTT MONDAYSとして参加した)Saki選手なども登場しました。

モルックは現状ほぼすべてのコミュニティ関係者がプレーヤーを兼ねている状態なので、専用の実況解説を置かずに空いているプレーヤーが担当するという仕組みは実状に合わせているスマートな方針だと思います。

試合のない・終わった選手が立ち代わり解説(コメンタリー)に登場した

最低限、映像だけあれば成立するので、トーナメントの後半から終了した選手に協力してもらう形でもいいと思います。

日本でも配信文化を育てよう

日本の大会においても、今回のポーランドコミュニティによる素晴らしいライブ配信を参考にしていきたいところです。

  • 1️⃣予選1試合目からたくさん試合を配信している
  • 2️⃣観る側がほしいテロップやカメラワーク
  • 3️⃣結果速報サイトも充実・配信外の結果もすぐわかる
  • 4️⃣試合カードのセレクトが「理解ってる」
  • 5️⃣選手による解説

の5点に分けて紹介しましたが、最優先は1️⃣、2️⃣~5️⃣については部分的にも参考にできると思います。

2️⃣については、配信機材やスタッフの都合上フル装備とはいかなくても、最低限スマホカメラ1台を固定で置くところから始めてもいいと思います。またピックアップした試合を映すようにします。

日本大会の配信は決勝戦以外は上からの俯瞰カメラで"""6時間以上"""配信されていましたが、こういった漠然とした風景よりも試合をピックアップして映してもらうほうが、配信で観戦する側としては楽しみが増えます。

3️⃣については、モルック専用のシステムを開発するのはなかなか難しいですが、大会の速報を運営のSNSアカウントなどで流すといったことで速報を流す方法もあります。

4️⃣については、事前に選手やチームの情報を集めなければなりません。日本はプレーヤー人口が海外の各国よりも多いため、各地域レベルでコミュニティに明るい方々の協力を得ていく必要があります(私も、関東以外のエリアについてはあまり情報がないくらい多くの選手が活躍しています)。もしくは予選の段階については完全ランダムのほうがむしろ面白くなるかもしれません。

5️⃣については、上にも書きましたが最低限、映像だけあれば成立するので、トーナメントの後半から終了した選手に協力してもらう形から始めてもよいと思います。プレーを解説する経験は、簡潔にわかりやすい表現を選択する練習にもなるので、今後体験会で初心者に説明する際にも役立ちます。

また、個人のYouTubeチャンネルでモルックの実況解説をしている方は最近になって増えてきているので、そういった人達が公式ライブ配信のキャスターとして参加することも選択肢に入れていいと思います。

試合がメインコンテンツ

モルック大会のメインコンテンツはなにか?それは「試合」です。他のスポーツや競技においても同様の回答になるくらい、あまりにも当然すぎる問いですが、現場にいる人々は様々な情報を取り扱うので、意外とその「原点」に立ち返れてないように感じています。

現に、世界大会のポーランド連盟本配信の裏で、日本モルック協会はTikTokでライブ配信を行っていましたが、

  • スマホ手持ちなので常にブレがある
  • 試合の途中で別のコートに移動するので結果がわからない
  • コートから離れて撮っているためスキットルの配置がわからない

といった感じで、選手の声や大会の雰囲気を知ることはできますが、試合観戦にはあまり適したものとは言えませんでした。なんなら2022年あたりの配信のほうが見やすかった印象があります(TikTokで配信することにより新規層にリーチする目的があると思いましたが、寄せられるコメントや質問への返答も(コメントを確認する方法がなかったからか?)少なかった)。

まずは試合を映す、選手のインタビューなどサブコンテンツはその次という明確な方針を持つべきです。

こちらは動画ですが、日本モルック協会による2025ジャパンオープンの決勝動画。どういう意図か、選手側のカメラがメインで盤面は小さく映るだけでした。


ということで今回はポーランドの現地配信が素晴らしかった!という話と、日本でもどんどん真似していこうというテーマでした。配信や動画のコンテンツは誰のためにあるのか、ということを考えると、やはり最終的には初心者を話さないようにするとか、新規を獲得していくという普及の目的につながっていくと思います。